小売業界に携わる人々に向けて、小売ビジネスの本質を分かりやすく解説した実践的入門書です。
複雑な小売業の歴史と業態を、 業界誌の記者がわかりやすく解説します。
小売業の社会との接点である 「店舗」について、店内レイアウトやプレゼンテーション、商品構成などの読み解き方を紹介します。
「粗利」から「在庫回転率」まで、初学者が押さえておきたい数字の 読み解き方を説明します。
- A5版、112P
- 2024年11月発行
図表やデータを豊富に収録し、ドメイン知識とその「さらに前」の「業界の常識」や「大前提」「暗黙の了解」を丁寧に解説。小売業界特有の課題や要件を理解し、より効果的なソリューションを提案・開発したい人々にとって、必携の一冊です。
本書のゴール
- 小売業の歴史や知っておきたい常識をコンパクトに学べます
- 店舗を見て言語化するための前提知識を身に着けることができます
- 店舗に関する数字の基礎知識を理解することができます
本書の対象読者
本書は、以下の方に向けて書かれています。
- 小売業で働いている方、働くことを検討している方
- 小売業に関わるIT エンジニアの方
- 小売業に商品を提供するメーカーや卸売業の方
本書において「小売業」とは、複数店舗を展開するチェーンストアを主な 対象としていますが、中小規模の小売業にもほぼ適用できるように配慮して います。
目次
第1章 小売業の概要を理解する 1.1 登場人物を整理しよう 本部と店舗で役割分担がされている 膨大かつ多種多様な取引先 店はお客様のためにある 1.2 小売業の基本機能を学ぼう 「製品」を「商品」に変える 小売業は「お客様の接点」であるところが強み 1.3 業種と業態で分類する 「作り手」視点の「業種」、「買い手」視点の「業態」 業態の定義を学ぶと理解が深まる 主要業態を比較してみよう 1.4 チェーンストアについて知る 経営方式によるチェーンストア3 つの分類 本部と店舗の関係性と標準化 狭くなる商圏と変わる業態 商圏を拡張する宅配とEC 小売業は無人レジ店舗の夢を見るか
第3 章数字を読み解く技術 3.1 すべての基本「売上の因数分解」 売上の方程式を紐解く 売上を伸ばすためできること 既存店売上高と全店売上高 企業の数字を見てみよう 売上と5 つの利益 3.2 第一段階の利益、粗利について考える 小売業のコアな部分の利益 3.3 「売上原価」「仕入原価」2 つの原価がある 値入について考える 3.4 売上高構成比で知る注力部門 分類の細かさで伝わるもの 伸長するドラッグストアの食品販売 バランス型・食品強化型・ビューティー強化型 3.5 粗利ミックスと相乗積管理 高粗利商品と低粗利商品を混ぜて売る 粗利をコントロールする「相乗積管理」 3.6 在庫を知ると利益が見える 小売業の肝になる「在庫」 何回商品が売れたかを示す「商品回転率」 商品回転率を算出してみる 企業・業態によって異なる商品回転率 在庫の効率を評価する「交差比率」と「GMROI」 薄利多売? 中利中売? 高利低売? 3.7 回転差資金という小売業の魔法の杖を理解する BtoC だからこそ得られる利益の源泉 力関係で変わる「買掛金回転日数」 キャッシュレスの普及が小売業の財務体質を悪化させている 3.8 管理のための指標① スペースと人時、2 つの生産性 売場の広さに対する生産性を表す「スペース生産性」 従業員一人当たりの生産性を表す「人時生産性」 3.9 管理のための指標②分配率 粗利を5 つの項目で管理する 隠されたデジタル投資額
“小売業界って本当に独自言語が多くて、ドメイン知識が必要で、開発でDDDやるにしても前提知識が必要なので、小売開発 x DDDにはバイブルですな。”山﨑賢さん (イオンCTO)
著者について
鹿野恵子
1978年、宮城県仙台市出身。2001年、早稲田大学法学部卒業後、株式会社アスキー、株式会社商業界(月刊食品商業、月刊商業界)、ITベンチャーを経て2015年に制作会社のプレーンテキスト(http://plain-text.jp)を設立。流通小売業とテクノロジー、スタートアップについての取材・執筆を続ける。現在、ウェブメディア MD NEXT(https://md-next.jp)編集長(運営:株式会社ニュー・フォーマット研究所)。編著書に「リアル店舗は消えるのか?」(発行:日経BP)がある。